damageとdamages の違い:意味、用法と例文

英文契約書におけるdamageとdamages の違い(意味と用法)について、分かりやすく解説します。また、damageとdamagesのそれぞれについて、実際の英文契約書で使用される具体的な例文もご紹介します。

目次
1.damageについて
 1)意味
 2)用法
 3)例文
 4)damageと責任制限条項(Limitation of Liability Clause)
2.damagesについて
 1)意味
 2)用法
 3)例文
 4)damagesと損害賠償条項(Damages Clause)
3.まとめ:damageとdamages の違い

 

1.damageについて:

1)damageの意味

英文契約書において、damageは、通常、損害という意味で使われます。

damage(損害)は、不可算名詞、つまり数えられない名詞であり、常に単数形で表示されます。

2)damageの用法

damage(損害)は、

責任制限条項(Limitation of Liability Clause)

において使用されます。

damage(損害)の具体的な用法については、次の
3)例文と、
4)damageと責任制限条項(Limitation of Liability Clause)、

の項目で詳しく解説します。

3)damageの例文

英文契約書の例文は、単に用語の用法だけでなく、条文全体としてどのような状況で使用され、どのような法的意味を持つのか、に注目することが重要ですので、これらの点を含めて解説したいと思います。

damage(損害)が使われる英文契約書からの代表的な例文を、二つご紹介します。

例文1:

Neither party shall be liable for any indirect, incidental, or consequential damage arising from the performance or non-performance of this agreement.

(訳):

いずれの当事者も、本契約の履行または不履行から生じる間接的、付随的、又は結果的な損害について責任を負わない。

解説:

この例文は、当事者間の損害に対する責任範囲を定めています。

特に、間接的、付随的、又は結果的な損害(indirect, incidental, or consequential damage)は、予測することが困難であり、損害額が大きくなる可能性があるため、責任を明確に制限することが重要となります。

また、この例文では、damageが、金銭的な賠償ではなく、損害そのものを指していることがわかります。

例文2:

The Contractor shall be responsible for any damage to the Client’s property caused by the Contractor’s negligence during the performance of the services.”

(訳):

請負業者は、サービスの履行中にその過失によって顧客の財産に生じた損害について責任を負うものとする。

解説:

この例文では、請負業者の過失によって顧客の財産に損害が生じた場合の責任を明確にしています。

建設工事や保守サービスなどの契約では、請負業者の作業によって顧客の財産に損害が生じるリスクがあるため、このような条文がよく設けらます。

この例文でも、damageは、損害そのものを指しています。

4)damageと責任制限条項(Limitation of Liability Clause)

damage(損害)は、責任制限条項(Limitation of Liability Clause)において、使用されます。

責任制限条項(Limitation of Liability Clause)とは、当事者の責任範囲を制限する条項です。

契約違反がおきた場合に、過大な損賠賠償のリスクに備えるため、当事者が直面する責任範囲を制限するための条文です。

責任制限条項では、損害の種類や発生原因、損害賠償額の上限、責任期間など、様々な方法で責任を制限することが定められます。

例文1と例文2は、いずれも当事者の責任範囲を制限しており、責任制限条項(Limitation of Liability Clause)からの代表的な条文です。

例文1は、損害の種類(間接的、付随的、結果的損害など)を限定することで、責任を制限しています。

例文2は、責任の発生原因(過失の不正行為)を限定することで、責任を制限しています。

2.damagesについて:

1)damagesの意味

damagesは、損害賠償、または損害賠償金を意味します。

damage(損害)と異なり、damagesというように、常に複数形で表示されます。

damages(損害賠償、損害賠償金)は、契約違反や不法行為によって生じた損害に対する金銭的な賠償を表す場合に使用されます。

2)damagesの用法

damages(損害賠償、損害賠償金)は、

損害賠償条項(Damages Clause)

において、使用されます。

damages(損害賠償、損害賠償金)の具体的な用法については、次の
3)例文と、
4)damagesと損害賠償条項(Damages Clause)、
の項目で詳しく解説します。

3)damagesの例文

damages(損害賠償、損害賠償金)が使われる英文契約書からの代表的な例文を、二つご紹介します。

例文1:

In no event shall the Seller’s liability for any claim arising under this agreement exceed the total amount of direct damages actually incurred by the Buyer, and in no event shall the Seller be liable for any indirect, incidental, consequential, special or punitive damages.

(訳):

いかなる場合も、本契約に基づいて生じる請求に対する売主の責任は、買主が実際に被った直接的な損害の総額を超えないものとし、いかなる場合も、売主は間接的、付随的、結果的、特別または懲罰的損害賠償について責任を負わない。

解説:

この例文では、売主の損害賠償責任の上限を明確に定めています。

direct damages(直接的損害賠償)とは、契約違反によって直接的に生じた損害に対する賠償のことをを指します。

他方、indirect, incidental, consequential, special or punitive damages(間接的、付随的、結果的、特別または懲罰的損害賠償)とは、より広範囲な損害に対する賠償のことを指します。

この例文では、damagesが、金銭的な損害賠償を意味する、ことがお分かりいただけると思います。

例文2:

The Contractor shall be liable for all damages caused by its negligence or willful misconduct in the performance of the services.

(訳):

請負業者は、サービスの履行における自らの過失または故意の不正行為によって生じた全ての損害賠償について責任を負うものとする。

解説:

この例文では、all damagesという表現は、請負業者の過失または故意の不正行為によって生じた全ての損害を賠償することとしており、損害賠償責任を明確に定めています。

建設工事や保守サービスなどの契約では、請負業者の作業によって損害が生じるリスクがあるため、損害賠償責任の所在を明確にするために、このような条文がよく設けられます。

例文1と同様に、この例文でも、damagesは、金銭的な損害賠償を指しています。

4)damagesと損害賠償条項(Damages Clause)

damages(損害賠償、損害賠償金)は、英文契約書の損害賠償条項(Damages Clause)で使用される用語です。

損害賠償条項(Damages Clause)とは、契約違反や不法行為によって相手方に損害を与えた場合に、その損害を賠償する責任の範囲や金額などを具体的に定める条文です。

例文1と例文2は、それぞれ損害賠償の責任範囲を規定しており、いずれも損害賠償条項の代表的な例文です。

例文1は、損害の種類(直接的、間接的など)によって責任を制限し、損害賠償額の上限を定めています。

例文2は、損害の発生原因(過失、故意の不正行為)によって損害賠償額の責任を明確にしています。

これらの例文から分かりますように、損害賠償条項は、損害の種類、発生原因、金額など、様々な要素を規定することで、損害賠償に関するリスクを管理するために規定されます。

3.まとめ:damageとdamages の違い

英文契約書において、damageとdamagesは、いずれも損害に関係する用語ですが、意味と用法が異なります。

damageは、主に損害そのものを意味し、常に単数形で使用されます。

一方、damagesは、損害賠償または損害賠償金を意味し、常に複数形で使用されます。

これらdamageとdamagesの用語は、それぞれ責任制限条項(Limitation of Liability Clause)と損害賠償条項(Damages Clause)という、契約上非常に重要な条項で使用されます。

damageが使われる責任制限条項(Limitation of Liability Clause)は、契約当事者の責任範囲を制限し、リスクを軽減するために設けられます。

一方、damagesが使われる損害賠償条項(Damages Clause)は、契約違反が発生した場合の金銭的な損害賠償の範囲を明確にし、紛争を防止するために設けられます。

damageとdamagesの使い分けを誤ると、契約解釈に大きな影響を与える可能性があります。

契約書を作成またはレビューする際は、damageとdamagesのそれぞれの用法を慎重に確認し、適切な用語を選択することが重要となります。

 

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