cause to do の意味と例文

英文と日本語のビジネス契約書の作成・チェック(レビュー)・翻訳の専門事務所です。(低料金、全国対応)

英文契約書で、相手方に何かをさせる使役の表現であるcause to doについて解説します。併せて、例文をとりあげ訳をつけました。例文中の他の基本表現に注記しました。

(目次)
1.解説:
 1)cause to doとは
 2)cause ~ to doの使い方
 3)cause ~ to doの意義・メリット
2.例文と基本表現
 1)例文 – 秘密保持契約から
 2)例文 – ライセンス契約から

1.解説:

1)cause to doとは

cause to doは、相手方何かの行為をさせる使役の表現です。

当事者が自らやるのではなく、

相手方を使って(=相手方に義務を負わせて)何かの行為をさせる

ための表現です。

cause ~ to doの表現形式で使われ、

(第三者)に(何かの行為を)させる

という意味になります。

~の部分に(相手方を使って)何かの行為をさせる第三者が入ります。

2)cause ~ to doの使い方

使役の表現であるcause ~ to doは、契約当事者でない第三者が登場することが多い、

秘密保持契約ライセンス契約業務委託契約

などで、よく使われます。

第三者とは、通常、以下の者が対象となります。(これらの者が契約当事者に含まれていない場合)

秘密保持契約  :コンサルタント、関係会社
ライセンス契約 :サブライセンシー(サブライセンスを受ける者)
業務委託契約  :再委託先、下請事業者

そして、cause ~ to doば、以下のように使われます。(青字部分)

秘密保持契約

秘密情報の受領当事者は、第三者(cause)秘密保持契約を締結させる(to do)。(英文契約書からの例文①をご覧ください)

ライセンス契約

ライセンシーは、サブライセンシー(cause)第三者からの特許侵害申し立てを通知させる(to do)。(英文契約書からの例文②をご覧ください)

ライセンシーとは、ライセンサー(=ライセンスを供与する者)からライセンスを受ける者をいいます。サブライセンシーとは、ライセンシーから、さらにそのライセンスの供与を受ける者をいいます。

3)cause ~ to doの意義・メリット

上記の秘密保持契約の例でいうと、

開示当事者は、第三者とは契約関係にありません。

仮に、受領当事者とともに、第三者も秘密保持義務を負うという規定を入れたとしても、開示当事者は、第三者を契約上、拘束できないので、秘密保持義務を負わせることができません。

そこで、cause ~ to doの表現を入れることにより、

受領当事者が第三者秘密保持契約を結ばさせることになり、開示当事者は、第三者に対しても秘密保持義務を負わせる

ことが可能となります。

2.例文と基本表現:

(注):上記で解説したcause ~ to do青文字とアンダーラインで示しています。

(注):他の基本表現をハイライトし語注を付けています。

1)cause ~ to do – 例文①

秘密保持契約からです。秘密情報の受領当事者は、第三者秘密保持契約を締結させるものとします。

The receiving party shall advise third parties of the confidentiality of the CONFIDENTIAL INFORMATION and shall cause third parties to enter into a similar Confidential Disclosure Agreement prior to any disclosure authorized by the disclosing party of the same to parties other than the receiving party.

(訳):

受領当事者は、機密情報の機密性について第三者に通知するものとし、受領当事者以外の第三者に機密情報を開示する前に当該第三者開示当事者が認めた同様の機密保持契約を締結させるものとする。

(注):

The receiving partyは、受領当事者という意味です。 

*enter intoは、(機密保持契約)を締結するという意味です。 

*prior to any disclosureは、開示する前にという意味です。 

*the disclosing partyは、開示当事者という意味です。 

*other thanは、(受領当事者)以外のという意味です。

2)cause ~ to do – 例文②

ライセンス契約からです。ライセンシーは、サブライセンシー第三者からの特許侵害申し立を、通知させるものとします。

In the event Licensee or Licensor becomes aware that Licensee’s or any Sublicensees’ practice of the Licensed Patents is the subject of a claim for patent infringement by a Third Party, that Party shall promptly notify the other, and the Parties shall consider the claim and the most appropriate action to take. Licensee shall cause each Sublicensee to notify Licensee promptly in the event such entity becomes aware that its practice of the Licensed Patents is the subject of a claim of patent infringement by another. To the extent Licensor takes any action, Licensor shall have the right to require Licensee’s reasonable cooperation in any such suit, upon written notice to Licensee; and Licensee shall have the obligation to participate upon Licensor’s request, in which event, Licensor shall bear the cost of Licensee’s participation.

(訳):

ライセンシーまたはライセンサーが、ライセンシーまたはサブライセンシーによるライセンス特許の実施が第三者による特許侵害申し立ての対象であることを知った場合、かかる当事者は他方当事者に速やかに通知し、両当事者は、当該申し立て、および取るべき最も適切な措置を検討するものとする。 かかる法人がライセンス特許の実施が他者による特許侵害申し立ての対象であることを知った場合ライセンシーは、各サブライセンシーライセンシーに直ちに通知させるものとする。 ライセンサーが何らかの措置を講じる範囲で、ライセンサーは、ライセンシーに書面で通知して、訴訟におけるライセンシーの合理的な協力を要求する権利を有するものとする。 また、ライセンシーは、ライセンサーの要求に応じて当該訴訟に参加する義務を負いその場合、ライセンサーは、ライセンシーの参加費用を負担するものとする。

(注):

*In the eventは、In the event thatの略で、~の場合という意味です。 

*becomes awareは、~を知るようになるという意味です。 

*practiceは、(ライセンス特許の)実施という意味です。 

*the subject of a claimは、申し立ての対象という意味です。 

patent infringement は、特許侵害という意味です。

*the Partiesは、(通知した当事者と通知を受けた当事者の)両当事者という意味です。詳しくは、partyとpartiesの関連表現の意味と例文をご覧ください。

*the most appropriate action to takeは、取るべき最も適切な措置という意味です。 

*entityは、法人という意味です。 

*To the extentは、to the extent thatの略で、~の範囲でという意味です。 詳しくは、to the extent thatの意味と例文をご覧ください。

*have the right to require Licensee’s reasonable cooperationは、ライセンシーの合理的な協力を要求する権利を有するという意味です。 

*upon written notice toは、に書面で通知してという意味です。 

*have the obligation to participateは、(当該訴訟に)参加する義務を負うという意味です。 

*upon Licensor’s requestは、ライセンサーの要求に応じてという意味です。 

*in which eventは、その場合という意味です。

*bear the costは、費用を負担するという意味です。 

 

英文契約書の作成・チェック(レビュー)・翻訳は、当事務所にお任せください。迅速かつ低料金で対応いたします。

お問合せ、見積りは、無料です。お気軽にご相談ください。

電話:042-338-2557   受付時間: 月~金 10:00~18:00

メールでのお問合せは、こちらから。     

ホームページ:宇尾野行政書士事務所