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英文契約交渉を成功させるためにはどのように進めるべきかについて、交渉の準備段階、交渉中、交渉後の各段階、専門家に相談すべきタイミングなど、一連の流れと注意点を解説します。
目次:
1.はじめに
2.英文契約交渉の準備段階
1)契約相手の調査
2)契約内容の確認
3)交渉の目的と進め方の策定
4)交渉担当者の選定
5)交渉資料の準備
3.英文契約の交渉中
1)交渉の基本姿勢
2)条項ごとの交渉
3)文化的な違いへの対応
4)トラブルが発生した場合の対処
4.英文契約の交渉後
1)契約書の最終確認
2)契約書の修正
3)契約書の締結
4)契約の履行
5)契約後のトラブル対応
5.専門家への相談
6.まとめ
海外企業との取引は、ビジネスチャンスを広げる上で大きな効果が期待できます。
しかし、異なる言語や文化、法律制度を持つ相手との契約交渉は、多くの課題が伴いがちです。
特に、英文契約書は専門的な用語や複雑な条項が多く、日本企業にとってはハードルが高いと感じる方も多いのではないでしょうか。
「相手の言っていることがよく分からないまま契約してしまった」
「不利な条件で契約してしまい、後で後悔することになった」
このような経験をお持ちの方もいるかもしれません。
英文契約交渉は、単に契約書にサインするだけではありません。
自社の権利を守り、ビジネスを成功に導くためには、交渉の準備から契約締結後のフォローまで、一連の流れをしっかりと理解しておく必要があります。
この記事では、英文契約交渉を成功させるためにはどのように進めるべきかについて解説します。
交渉の準備段階、交渉中、交渉後の各段階における進め方、注意点、専門家に相談すべきタイミング、などについて説明します。
中小企業や個人事業主の方々にとって、英文契約交渉は、リソースの制約から、以下に解説するプロセスと同じように全部を対応することは難しいかもしれません。
しかしながら、中小企業や個人事業主の方々にも、英文契約交渉の全体像を把握し、心理的なハードルを少しでも下げていただくことを意図しています。
英文契約交渉を成功させるためには、事前の準備が非常に重要です。
準備不足のまま交渉に臨むと、不利な条件で契約を結んでしまったり、後々トラブルに発展したりする可能性があります。
ここでは、英文契約交渉の準備段階でやるべきことを具体的に解説します。
まず、契約相手の企業について十分に調査するようにします。
以下のようなやり方で、企業の規模、業績、信用情報、過去の訴訟歴の有無などを確認することで、相手方の信頼性や交渉力を把握できます。
・企業のウェブサイトや公開情報を確認する
・信用調査機関のレポートを入手する
・過去の取引先や業界関係者から情報を収集する
相手から契約書案を入手したら、以下の箇所について、条項を一つ一つ、よく確認します。
・契約の目的、範囲、期間などを確認する
・自社の権利・義務、責任範囲などを確認する
・準拠法、裁判管轄、紛争解決方法などを確認する
不明な点や疑問点は、必ず相手方に確認し、納得できるまで説明を求めましょう。
相手方から契約書案が提示された時点で、条項に不利な点がないか、不明確な点がないかなどを確認するために、リーガルチェックを開始することが望ましいです。
交渉の目的を明確にし、具体的な目標を設定します。
交渉の目的とは、たとえば、新たな市場への参入、だとします。
具体的な目標とは、新たな市場への参入にするためであれば、現地の企業と販売代理店契約を締結し、販売目標を〇〇個/年とする、というようなことです。
また、目標を達成するための交渉の進め方を策定することも重要です。
・自社の譲れない条件、妥協できる条件を整理する
・相手方の立場や要求を予測し、対応策を策定する
・交渉の進め方、自社内の役割分担などを決定する
交渉担当者は、契約内容に関する知識だけでなく、交渉力や語学力も必要です。
社内で最適な人材を選定するようにします。
・契約内容に関する知識、交渉経験などを考慮する
・語学力、コミュニケーション能力などを考慮する
交渉に必要な資料を事前に準備するようにします。
・自社の契約書案、提案資料、参考資料などを準備する
契約書案だけでなく、自社の提案資料や参考資料なども用意しておくと、交渉をスムーズに進めることができます。
自社の立場を明確にするため、相手からの契約書案の入手に先立って、事前に自社の契約書案を準備しておくことは非常に効果的です。
・交渉担当者の役割分担、連絡先などを整理する
・交渉の日程、場所などを確認する
交渉の場所については、メールでの交渉が多いと思われますが、状況に応じて、ビデオ会議の他に対面交渉もありえます。
これらの準備を十分に行うことで、交渉にしっかりと臨むことができます。
準備段階を経て、契約交渉が始まります。
交渉中は、相手方とのコミュニケーションを密に取り、自社の主張をしっかりと伝えることが重要です。
ここでは、交渉をできるだけ有利に進めるため、交渉中に注意すべき点を解説します。
冷静かつ柔軟に対応する:
感情的にならず、冷静に交渉を進めるようにします。
また、相手方の意見にも耳を傾け、柔軟に対応することも大切です。
・自社の主張を明確に伝える:
自社の要求や懸念点を曖昧にせず、明確に伝えます。
具体的な根拠や事例(例:契約金額の交渉において、競合製品との性能比較表を利用する、など)を示すことで、相手方の理解を得やすくなります。
・相手方の立場を理解する:
相手方の要求や背景を理解することで、より効果的な交渉の進め方を設定することができます。
・記録を残す:
交渉の内容や合意事項は、必ず記録に残しましょう。
後々トラブルになった際に、重要な証拠となります。
契約書案の条項を一つ一つ確認しながら、交渉を進めます。
条項ごとの交渉が進む中で、合意内容が法的に問題ないか、新たなリスクが発生していないかなどを確認するために、リーガルチェックを行います。
・重要な条項から交渉する:
損害賠償条項(Damages)、契約解除条項(Termination)、準拠法条項(Governing Law)など、重要な条項から優先的に交渉します。
・不明な点や疑問点は質問する:
不明な点や疑問点は、必ず相手方に質問し、納得できるまで説明を求めましょう。
・代替案を準備する:
相手方の要求に合意できない場合は、代替案を提示することも検討しましょう。
たとえば、価格交渉において、売主の相手方が製品Aの価格を1個100ドルで要求し、買主の自社の主張が90ドルが限界であるとき、90ドルで合意する代わりに、契約期間を2年から3年に延長する代替案を提示する、などです。
・例文を活用する:
実際の契約書で使われる表現や条項を用いた例文を活用することで、交渉をスムーズに進めることができます。
たとえば、インターネット上で公開されている英文契約書のテンプレートには、一般的な条項や表現が記載されています。
海外企業との交渉では、文化的な違いが交渉に影響を与えることがあります。
事前に相手方の文化や商習慣を調べておくことで、誤解やトラブルを防ぐことができます。
文化的な違いや商習慣とは、例えば、相手が米国企業であれば、直接的なコミュニケーションを好む傾向があります。
遠回しな言い方は避け、自社の意見や要求を明確に伝えることが重要です。
また、米国企業は、契約を非常に重視する文化があり、契約内容は細部まで確認し、合意した内容は厳守することが求められます。
さらに、米国企業は訴訟リスクを意識しており、訴訟リスクを回避するための契約条項が盛り込まれ、交渉でも訴訟リスクに関する議論が重要になります。
交渉中にトラブルが発生した場合でも、冷静に対処することが重要です。
事実関係を確認する:
トラブルの原因や状況を正確に把握しましょう。
解決策を検討する:
相手方と協力して、解決策を検討しましょう。
外部の専門家に相談する:
必要に応じて、専門家に相談することも検討しましょう。
交渉中は、常に自社の利益を意識しつつ、相手方との信頼関係を築くことが大切です。
交渉が成立し、合意に至ったとしても、まだ安心はできません。
交渉後の対応を怠ると、後々トラブルに発展する可能性があります。
ここでは、交渉後に注意すべき点や、契約を確実に履行するためのポイントを解説します。
合意内容が契約書に正確に反映されているか、条項に誤りや抜け漏れがないかなどを、再度確認しましょう。
・合意内容と契約書の内容を照らし合わせる:
交渉中に合意した内容が、契約書に正確に記載されているか確認します。
・条項の文言や解釈を確認する:
条項の文言が曖昧でないか、解釈に誤りがないかなどを確認します。
・専門家に相談する:
必要に応じて、契約書のリーガルチェックを依頼しましょう。
なお、契約書のリーガルチェックは交渉の各段階で行うことが望ましいです。
契約書に修正が必要な箇所が見つかった場合は、相手方と協議し、修正を行います。
・修正内容を明確にする:
修正箇所、修正理由、修正後の内容などを明確にします。
・修正案を相手方に提示する:
修正案を相手方に提示し、合意を得ます。
・修正後の契約書を再度確認する:
修正後の契約書に誤りや抜け漏れがないか、再度確認します。
契約書の内容に問題がなければ、契約を締結します。
・署名権者を確認する:
契約書に署名する権限を持つ社内の人物を確認します。
・署名・捺印の手続きを行う:
契約書に署名・捺印し、相手方にも署名・捺印を依頼します。
・契約書の保管方法を決定する:
契約書の原本を適切に保管します。
契約締結後も、契約内容を確実に履行することが重要です。
・履行スケジュールを作成する:
契約内容に基づいて、履行スケジュールを作成します。
・履行状況を定期的に確認する:
履行状況を定期的に確認し、遅延や問題が発生していないか確認します。
・相手方と定期的に連絡を取り合う:
相手方と定期的に連絡を取り合い、情報共有や意見交換を行います。
万が一、契約後にトラブルが発生した場合は、冷静に対応しましょう。
・事実関係を確認する:
トラブルの原因や状況を正確に把握します。
・契約書の内容を確認する:
契約書にトラブル解決に関する条項がないか確認します。
・相手方と協議する:
相手方と協議し、解決策を検討します。
契約締結後も、契約内容を確実に履行し、相手方との良好な関係を維持することが大切です。
英文契約交渉は、専門的な知識や経験が必要となる場面が多くあります。
交渉を有利に進め、リスクを最小限に抑えるためには、専門家のサポートが大いに役に立ちます。
専門家に相談すべきタイミング
交渉の準備段階、契約書案の作成・確認など、交渉の各段階において、必要に応じて専門家に相談することで、交渉を確実に進めることができます。
・契約交渉の準備段階:
契約内容の確認、交渉の進め方など、交渉の準備段階から専門家に相談することで、より効果的な交渉を行うことができます。
・契約書案の作成・確認:
契約書案の作成やリーガルチェックを依頼することで、自社に不利な条項や抜け漏れがないかなどを確認できます。
・その他、不安や疑問がある場合:上記以外でも、英文契約交渉に関して不安や疑問がある場合は、専門家に相談しましょう。
・契約内容に関する専門的な知識や経験を持つ専門家に相談することで、より深い理解を得ることができます。
英文契約交渉の準備段階から交渉後まで、一連の流れと注意点を解説しました。
英文契約交渉は、専門的な知識や経験が必要となる場面が多く、日本企業にとってはハードルが高いと感じるかもしれません。
しかし、事前の準備をしっかりと行い、交渉中のポイントを押さえることで、不利な条件で契約を結んでしまったり、後々トラブルに発展したりするリスクを減らすことができます。
英文契約交渉を成功させるための重要なポイント:
・契約相手の調査:相手方の信頼性や交渉力を把握する。
・契約内容の確認: 条項を一つ一つ丁寧に確認し、不明な点は質問する。
・交渉の目的と進め方の策定: 自社の譲れない条件、妥協できる条件を整理し、交渉の進め方を策定する。
・交渉担当者の選定: 契約内容に関する知識だけでなく、交渉力や語学力も考慮する。
・交渉資料の準備: 契約書案だけでなく、提案資料や参考資料なども用意する。
・交渉の基本姿勢: 冷静かつ柔軟に対応し、自社の主張を明確に伝える。
・条項ごとの交渉: 重要な条項から交渉し、不明な点や疑問点は質問する。
・文化的な違いへの対応: 相手方の文化や商習慣を理解し、適切な言葉遣いを心がける。
・契約書の最終確認: 合意内容が契約書に正確に反映されているか確認する。
・契約書の修正: 修正が必要な箇所が見つかった場合は、相手方と協議する。
・契約書の締結: 署名権者を確認し、署名・捺印の手続きを行う。
・契約の履行: 履行スケジュールを作成し、履行状況を定期的に確認する。
・専門家への相談: 交渉の準備段階、契約書案の作成・確認など、必要に応じて専門家に相談する。
英文契約交渉は、時間と労力を要するプロセスですが、これらのポイントを意識することで、よりスムーズに、そして有利に進めることができます。
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